ロバート・ゴダード「一瞬の光のなかで」

一瞬の光のなかで〈上〉 (扶桑社ミステリー)

一瞬の光のなかで〈上〉 (扶桑社ミステリー)

一瞬の光のなかで〈下〉 (扶桑社ミステリー)

一瞬の光のなかで〈下〉 (扶桑社ミステリー)

ゴダードお得意の「ダメ男がいい女に引っ掛かって云々」もの。というかそれ以外のゴダードものを寡聞にして知りません。ダメ男の情熱と微妙にダメっぽい立ち回りを描かせたら相変わらず右に出る者がいない感じですね。
とっかかりは同じでも、そこから迷宮に潜っていくように様々な伏線や仕掛けが張り巡らせされていく様は、良質のダンジョンRPGをプレイするみたいな快感があります。迷宮が複雑すぎてクリアしてしばらく経ったらもうメインの構造を思い出そうとしても思い出せないのは私だけかもしれませんが。面白かったことだけ覚えており、「じゃあ『永遠に去りぬ』ってどういう話だった?」って聞かれてもとっかかりすら思い出せない。
主人公が失踪した女性を追っかけていく内にはまりこんでいく重層的な謎の構成は相変わらず見事すぎる。百ページに一回はどんでん返しを仕掛けると言っても過言ではないほどしつこくどんでん返るのがゴダード節ですが、こっちがひっくり返ったと思えばあっちがひっくり返り、予測付けることを許しません。
普通に面白いので特に言うことも見つからず。ラストシーンは相変わらず情感たっぷりでいい感じです。なんか面白い洋ものミステリない? と聞かれれば誰にでも安心してオススメできるクオリティ。
どっかで見たような量産型の感想だな、これ。