今野緒雪「マリア様がみてる クリスクロス」

マリア様がみてる 26 クリスクロス (コバルト文庫)

このサブタイトルを見るとどうしても高畑京一郎の某混沌の魔王を思い出す私は別に間違ってない。と書いて、多分同じことを書く方が何十人といるでしょうことに思い当たって秒速で後悔。忘れてください。

「仮面のアクトレス」や「くもりガラスの向こう側」の物語の動かなさにうんざりしきって、「大きな扉小さな鍵」は流し読みに近かったのですが、ようやく本作でお話が劇的に動きました。「大きな扉小さな鍵」で振り下ろそうとしたパワーがようやく会心の一撃を出した感じですね。
最近はどうもこの「どこに出しても恥ずかしくないお嬢さんたちの嬉し恥ずかし群像劇」につき合うのに疲労を感じるようになってきた年寄りなので、次の号でなんとか決着をつけてくださると嬉しい。
マリみての群像劇っぷりに関して。一つ一つの巻や短編で焦点を一つに絞ってその事件のみにページ数が割かれていた時は普通に面白かったのですが、最近は一つの巻の中で焦点がバラけすぎの感もあり（そのくせメインストーリーは何巻にも渡るし）、中だるみ感を感じることしばしば。これからもこんなノリで行くのでしょうか。瞳子事件の決着を待ち望んではいるのですが、今後もこのダルさでしたらちょっと考えようかしら。