時雨沢恵一「アリソン」シリーズ

「いいわ。代わりにわたしが、今度から隣でヴィルのことを自慢してあげる。"この人は、八十七年カアシの射撃大会六位入賞者よ!"って。決まりだから」
<強気デレの鏡のような台詞 アリソン>

4冊分の感想を一気に書くなんて、我ながら怠惰なことです。ハズカシイ。


ヴィルとアリソンの関係性に萌える小説だと友人が言っておりましたが、それはおおむね正しい。ツンデレな様に見えて実は全然ツンデレじゃないアリソンがかわいいです。やっぱり「私の好きな人はこういうところがすごくて、こういうところがかっこよくて、そんなあの人を好きな自分を誇りたい」っていう感じの女の子はいいですね。何かこういう萌えに名前はつかないのかな。まとめて言うのならデレデレの一部ですか、そうかしら。


・一巻

アリソン (電撃文庫)

アリソン (電撃文庫)

物語の始まり。爺さんの切ない展開に胸を熱くするべきかしら。ムートおばあちゃんの話を見て、国が二つしかないのなら貨幣レートどうなってんのかな、どうやって未来の家を設立したのかな、と思いましたが、友人が「宝石とかインゴットとかに向こうで予め換えてたんじゃねえの」と言ったので納得。


・二巻

ベネディクト少佐の相手役登場。一巻と比較して泣ける要素が少ないためかインパクトは薄い。


・三巻(上下)

役者が揃ったと思えば最終回。ラノベでこういうパターンは珍しいような。しかしアリソンという物語が、直球続編の「リリアとトレイズ」のちょっと長い承前の物語だと考えると少しは納得がいくようないかないような。
長いだけあって、ミステリ的に面白い仕掛けもちらほら。しかしプロローグはいきなりコスい手段で読者を騙しにかかっていて、「ぅあーん?」と思ってしまったことも確か。もうちょっと最後の最後までこのネタを引っ張ってどんでん返ししてくれるのかと思ったら、割とあっさりフェードアウト・フェードイン。アリソンの親父さんの話と絡めているのは解るんですが、なんでそういうことになったかっていうのが明かされないのが後味悪い。あ、だからこの物語は「リリアとトレイズ」の長い承前の(以下略)