目黒孝二「活字学級」

活字学級 (角川文庫)

活字学級 (角川文庫)

自分語りと本の紹介は相性がいいのかどうかについて。ついても何も、そのことについて語るつもりは微塵もないのですが、書いてみただけ。
基本的に私は、こういったインデックスのついたタイプの作品紹介エッセイは全く読んだことがないので、さりげなくどきどき初体験。


で。


率直な感想としては、著者は非常に羨ましい人だと感じました。
「そういうわけでそんな気分なわけだが、こういう気分の時はこのタイトルのこういうシチュエーションには考えさせられる」というのが大方の流れですが、よくそんな例示がぽんぽん出るな、と。
200冊近くタイトルが挙げられた中で、私が読んだことがあるのはほんの30冊程度なのですが、「そんな感じ方はしなかったな」「もっと他のところに気を取られたがこの人はよく見てるな」「むしろ表紙カバーの絵しか覚えてない」などとダメなことしか考えつかず、たった1500冊程度の読書体験で大抵の小説の内容の大方を忘却している自分自身に絶望した。
最早おしまいです。もうしわけない。何もかももうしわけない。
恐らく、そういったシーンの機微に目を届かせるには、そのシーン一つ一つを拾って、「お、この感覚には覚えがあるな」とか「この感覚はこういうことではないのかな」と自分の個人的シーンとふれ合わすことが必要なのでしょう。そうして印象に残りやすくなる。
読書体験はあくまで読書の体験であり、リアルの体験とはまったく違う。やはり、本を細かいところまで楽しむには、リアルでの経験が問われるのか。
内向的な趣味を選択して尚、ある程度の外向性を求められるとは。人生はまったく優しくない。
以上、自分語りと本の感想をやってみる試みでした。ちっともよろしくない。


語り口も視点も嫌いではないんですが、基本的にいわゆるブログっぽいというのか、ネット記事のようなサラリ感があって、楽しむにはそれ相応の読書経験値が必要っぽい気はしました。まあ、そんなもんなくても大丈夫っちゃ大丈夫なんですが。なんだろう、この脅迫感。